QGISの「バッファ」作成機能を使って日本の排他的経済水域などを描きます。
まず、日本全体図のデータですが、国土数値情報の行政区域の全国版を使うと情報量が多くて作業に時間がかかるので、地球地図日本のデータを利用します。
具体的には、地球地図日本のデータの「行政界」データを使います。
展開したデータのうち「polbnda_jpn」を選択すると、表示される形は国土数値情報の行政区域全国版と同じようですが、データ内容は世界を意識して作られているため、アルファベットで入力されています。
「国土交通省国土地理院「地球地図日本(行政界)」をもとにid:tekito-gottaniがQGISを用いて編集・加工」
今回作成する排他的経済水域で必要なのは日本の形、輪郭線だけなので、市区町村レベルまで分割されている境界線は必要ないのでまとめます。
メニューバーから「ベクタ」→「空間演算ツール」→「融合」を選択して表示されるウィンドウで「融合フィールド」に「coc」と指定します。
このように指定すると「融合フィールド」で指定した値のグループでデータがまとめられます。「nam」を指定すれば都道府県ごとにグループ化されます。地球地図仕様はGlobal Map Specificationsにあります(英語ですが…)。
下記の左図が「coc」、右図が「nam」で融合した図です。
「国土交通省国土地理院「地球地図日本(行政界)」をもとにid:tekito-gottaniがQGISを用いて編集・加工」
次に、新しく作成した日本全体図のデータファイルのCRSを変更して保存します。
レイヤパネルで作成したデータを右クリックして「名前を付けて保存する」を選び、形式を「ESRI Shapefile」にしてパス名を入力し、CRSを「JGD2000 / UTM zone 54N」に指定して保存します。
これは、ざっくり言うと、距離の単位を度分秒からメートルに変更する作業です。詳しくは、地理座標系や投影座標系などのキーワードで調べてください。私も完全に理解しているとは言い難い部分です。
ちなみに、「JGD2000 / UTM zone 54N」のパラメータは、「+proj=utm」がユニバーサル横メルカトル図法、「+units=m」がメートル単位を使うという指定になっています。「+units=m」ならほかの図法でも問題ないと思います。
ようやくここから海上保安庁 領海等に関する用語を参考に排他的経済水域を作成していきます。最初に領海(12海里(約22km))を表示させます。
メニューバーから「ベクタ」→「空間演算ツール」→「バッファ」を選択して、バッファ距離に「22000」(=22km)を入力し、「バッファの結果を融合」にチェックを入れてしばらく待ちます。
作成された図をレイヤパネルで日本全体図のデータの下に来るように位置を変更すると、下記のように擬似的な領海範囲を表示できます。
「国土交通省国土地理院「地球地図日本(行政界)」をもとにid:tekito-gottaniがQGISを用いて編集・加工」
同じように、接続水域(24海里(約44km))、排他的経済水域(200海里(約370km))を作成すると下記のようになります。
※ 図はQGISの練習用の作図であり、特定海域については考慮しておらず、実際の排他的経済水域を示すものではありません。正確な排他的経済水域については、海上保安庁 日本の領海等概念図のページを参照してください。
「国土交通省国土地理院「地球地図日本(行政界)」をもとにid:tekito-gottaniがQGISを用いて編集・加工」
バッファ機能を使うと、ある駅からの5キロメートル範囲を示すなど、分かりやすい図を作成できて非常に実用的な機能だと思います。